妥協しないまま、届けたい。
品質を落として、価格を守るか。
品質を守って、価格を上げるか。
生地も、副資材も、縫製の工賃も、上がり続けています。どのブランド様も、商品そのものの価格を上げざるを得ない。私たちも、その一つです。
価格を上げれば、これまでの仕様は守れます。けれどそのぶん、「着てみたい」と思ってくださった方の手から、服が少しずつ遠ざかっていく。
私たちは、そのどちらも選びたくありませんでした。
変えなかったもの
シワになりにくい
ストレッチ素材
ご自宅の洗濯機で
洗えること
手がすっぽり入る
大きなダブルポケット
紐で自分に合わせて
調整できること
価格を抑えるうえでも、毎日の着やすさにつながる部分は残しました。シワになりにくいこと。自宅で洗えること。大きなポケットがあること。自分に合わせて調整できること。この四つは、今回も変えていません。
サイズ展開も、これまでと同じです。数を絞れば、もっとシンプルにつくることはできました。でも、価格を抑えるために「自分に合うサイズを選べること」まで減らしたくはありませんでした。
シンプルにしたもの
あって困る仕様は、ひとつもありません。むしろ私たちは、着る方の「あったらうれしい」を、ひとつずつ足してきました。ただ、足せば足すほどパーツが増え、工程が増え、価格は上がっていきます。
これまでのベーシックライン
- 前開き仕様(コンシールファスナー・ホック・ボタン)/パンツ
- 背面のみゴム仕様。フロントはすっきりきれいに見える設計
- 左右で構造の異なるダブルポケット。商品によってはコンシールファスナー付き
- ヒップが大きい方にも配慮したサイズ設計
新しいベーシックライン
- 前開きをなくし、全周ゴム。脱ぎ着がとてもラクに
- ウエスト紐で調整できる設計はそのまま
- ファスナーのないダブルポケット。大きさは変わりません
- 仕様と副資材をシンプルに
生地のグレードを落としたのでも、
縫製を簡略にしたのでもありません。
仕様と副資材を、いちばんシンプルな形に引き直しました。価格を抑えられた理由は、それだけです。
どちらが上でも、下でもない
同じ基準でつくった服を、違う入口から選んでいただけるようにした。それだけのことです。
では、なぜ全部をこの価格にしないのか
ファスナー付きのポケットに、毎日助けられている方がいます。前開きでなければ、着替えそのものが負担になる方がいます。フロントのすっきりしたシルエットが必要な場面が、確かにあります。
その仕様を一律に手放すことは、その方たちに「我慢してください」とお願いするのと同じです。
だから私たちは、減らすのではなく、
並べて置くことにしました。
必要なものを、必要な方が選べること。それ自体が、私たちの考える誠実さです。
服の良し悪しは、着た瞬間には分からない。
手にとったときでも、鏡の前に立ったときでもなく。
一日を過ごして、家に帰ってきたそのときに。
「今日、この服でよかった」と
思えるかどうか。
私たちは、そこまでを服づくりだと考えています。
だから考え続けてきました。その一日を、どんな一着から始めてもらうのか。毎日のはじまりに、自然と手を伸ばしたくなる一枚を。
はじまりの一枚を、つくる。
それが、今回の私たちの挑戦です。